本書は、アメリカ亡命後の72年から17年の間、ほとんど毎年のようにヴェネツィアを訪れた詩人の、ヴェネツィア滞在の印象記。彫琢された、美しい文章 の、散文詩のような51の断章からなる。ヴェネツィアの水と光をモチーフに、多くの隠喩やアフォリズムを織り込んだフーガのような作品。ノーベル賞受賞作 家の小説、本邦初紹介。
150ページ足らずの短い小説(というより随想だと思うけど)。ここ10日間くらいかけてじっくり読みました。寝る前に少しずつ。なんといえばいいのかわからないけれど、文章というものがここまで色彩豊かに、質感を伴った形で立ち現れてくるんだなぁ、と感じざるを得なかった。終わって欲しくなかったし、ずっと読み続けていたかった。ことあるごとに読みかえすであろう1冊。引用したいというよりも、自分に刻み込むために手元に控えておきたい!そう思うような箇所が幾つもあって、けれどそんなことをするよりもこのままブロツキーのリズムにたゆたう方が心地いいから結局そのままにしてしまった。そう、なによりも心地いい。装丁もシンプルでいいなぁ。
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