2009年9月13日日曜日

エリオ・ヴィットリーニ 『シチリアでの会話』

スペイン内戦に強い衝撃を受け、反フランコの活動に身を投じたヴィットリーニ。本書はファシズム当局の弾圧に脅かされながらも版を重ね、来るべき反ファシズムレジスタンスの精神的基盤となる。パヴェーゼ『故郷』と並ぶイタリア・ネオレアリズモ文学の双璧。

あちこちで薦められていたヴィットリーニ。ようやく読みました。読み終えた後にすぐに読み返す。こんなことはなかなかないのだけれども、そうせずにはいられなかった。黙示録的でさえもあるような、謎めいた寓話的な物語。漠然とした「不穏さ」があり、それは反復を多用する文体によって増幅される。これをネオリアリズモ文学を代表する作品として、そして反=ファシズムの基盤となったものとして認識している読者はきっとこのアレゴリーの先にあるものをぼんやりとであっても掴むことができるだろう。位置づけとしてはビクトル・エリセの『ミツバチのささやき』に近いものがあるかもしれない。内容云々ではなく、あくまでも外的な条件において、ではあるけど。鷲平さんの解説はこの小説の解釈を大いに助けてくれる。ぼんやりとした印象をくっきりと、ピントを合わせるように明らかにしてくれる。あまりにも「解読」的な性質を持つことが、この小説の広がりを妨げてしまうことになるかもしれないが、むしろ僕にとっては彼女の解説は読み返すに当たっての裁量の指針になってくれたようにも思われた。

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