小学校6年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても変わってるという。父が会社員だったことはな い。物心ついた頃からたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、よその家はそうではないことを知った。父は 昔、過激派とかいうのだったらしく、今でも騒動ばかり起こして、僕たち家族を困らせるのだが…。―2006年本屋大賞第2位にランキングした大傑作長編小 説。
元過激派の父は、どうやら国が嫌いらしい。税金など払わない、無理して学校に行く必要なんかないとかよく言っている。そんな父の考えなのか、僕たち家族は東京の家を捨てて、南の島に移住することになってしまった。行き着いた先は沖縄の西表島。案の定、父はここでも大騒動をひき起こして…。―型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、新時代の大傑作ビルドゥングスロマン、完結編。
なかなか面白かったです。奥田英朗、敬遠してたんだけど食わず嫌いはよくないですね。
過激派だか、1968年だかにもう辟易って思っていたので長らく読んでこなかったんですが、これは面白かった。なんだか昔の事を思い起こしながら傷を舐め合うような図式にうんざりしてたんだけれども。まぁこの小説もそんな雰囲気がなくはないけれども―両親の理想主義的なとことか―、基本的にはそうした運動にうんざりした「元・活動家」という設定だったので受け入れられたのかも。西表に行く前と行ってから(文庫だと上巻と下巻)ではだいぶ風合いが違うけれども、どちらも好きですね。西表の世界を前‐資本主義的な互酬制の社会として描いて、それを理想化しているところはそれでいいのかなとも思いましたが、まぁ最終的には更にその先の理想の世界まで行っちゃうわけで、そこまで突っ走るんならまぁそれはそれでいいのかな。とはいえ、沖縄やら石垣やらに「癒し」を求めて出かける人々と、この家族がどれだけ違うのだろう?
まぁいいや、なんだかスカスカな感想ですが。
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