ソシュールの言語論を端緒にうまれた,フーコー,デリダから,ジジェクやリオタールへと至る現代思想の潮流.「ポスト構造主義」と呼ばれる彼らの思想の可能性を,「ことばの意味」の決定システムを手がかりにあざやかに解説する.単なる知的ゲームでは決してない,「主体」のなんたるかを徹底的に問う骨太の議論の流れがみえてくる.
『文化と現実界』の著者ですね、あの本はなかなか面白かった気がする。とはいえ、きちんと咀嚼できたはずはなく、読み返したい気むんむんですが。印象的だったのはジジェクに対しての批判だったろうか。とりわけ〈現実界〉に関して。これは未だに納得いきかねる部分で、『否定的なものの下への滞留』がポイントになるのかもしれないのだけれど、勉強不足でむりだったんですね。がっかり。大雑把にいえばラカニアンでありながらヘーゲリアンでもあることなど可能なのか。それはラカンにおける〈現実界〉をやがて呑み込まれてしまう「残余」として扱ってしまうことになるのではないか、という批判だった(ような気がする)。まぁそれは別の機会に。
とにかく。
なぜかこの本だけ著者名が「ベルジー」となっていて混乱しますが(Amazonでは別の著者の扱いになってる)、同一人物です。たぶん、岩波の人はこの本を訳すにあたって「1冊でわかる」シリーズと銘打ったことを後悔したでしょう(しなきゃダメだよね)。あくまでこれはA Very Short Introductionであって、「1冊でわかる」というコンセプトで作ったわけじゃないんだから。このシリーズはいいですね。ダナ・アーノルド『美術史』に続いて読みましたが、勉強になります。このシリーズはもっと読みすすめてみようか。
ソシュール、クリステヴァ、ロラン・バルト、アルチュセール、レヴィ=ストロース、フーコー、ラカン、デリダ、リオタールへ。文体も平易で、一歩ずつ踏みしめながら進んでいってくれるので、安心して付いていける。入門書としてはとてもいいですね。ポスト構造主義とかポストモダンって結局はさぁ~、とかいいたがりな人、それに言い返したいけれどどういえばいいかわからない人、おすすめです。それってただのブームでしょ、とかもう過去の話でしょ、とかよくわからないのに口走っちゃう人、おすすめです。
文学、芸術作品、映画などにも再三にわたって言及していて、図版も入ってますし、ある程度前提のある人にもいいブラッシュアップになるんじゃないでしょうか。ただ、あとがきで妙な口調で訳者が言うように「わかる」わけではない。あくまでもこの本は導入です。そして導入としては最適な著作だと思います。読書案内も付いていますし(訳者の一言コメントつき)。なんだかロラン・バルト、気になります。『神話作用』読んでみたい。『S/Z』読んでみたい。「テクストの向こう側には何もない」 何かがあるとすればテクストと「読者」のあいだにおいて、だろうか。テクストそれ自体を読むこと。気になる。
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