2010年1月8日金曜日

長嶋有 『猛スピードで母は』

「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小六の慎は結婚をほのめかす母を冷静に見つめ、恋人らしき男とも適度にうまくやっていく。現実に立ち向う母を子供の皮膚感覚で描いた芥川賞受賞作と、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんとの共同生活を爽やかに綴った文学界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。

長嶋有、初めて読みました。文学界新人賞×芥川賞×大江健三郎賞ってどんなもんだろうと思いましたが、そう大騒ぎするほどでもないですね。まぁ面白かったですけれど。いまとある文学賞の下読みをしているのですが、もしこういった作品がそんなかに交じっていたら、確かに高評価を付けます。そつがないといえばいいのか、男性も女性も子どもも、上手に描きますね。うん、「そつがない」とか「こじんまり」とかいう評価がぴったりな気がする。これを読む限り、大江がなぜ第1回の大江健三郎賞にこの作品を選んだのか分かりません。受賞作が優れているのか、それともそれだけ文学の枯渇化が進んでいるのか。安藤礼二が受賞したのは判る気がするけど。
なんかもっとこう、読後に頭がぐちゃぐちゃになっちゃうような、そんな小説が読みたいなぁ。僕にはちょっと淡白でした。味が濃いほうが好きなので。

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