絶妙な語り口、緻密なプロット、感動のラスト。大ベストセラー小説『螺旋』の作者トマス・マウドは、本名はもちろん住んでいる場所すら誰にも明かさない“謎”の作家。「なんとしても彼を見つけ出せ!」出版社社長に命じられた編集者ダビッドは、その作家がいるとされる村に向かう。一方、麻薬依存症の青年フランは、盗んだバッグに偶然入っていた『螺旋』をふと読み始めるのだが……。いったいトマス・マウドとは何者なのか? 2つのストーリーが交錯する時、衝撃の事実が明らかになる! 驚異のストーリーテラーが放つ、一気読み必至の長編小説。
またもや書かなきゃいけない本が溜まってしまった。いや、別に書かなくてもいいのだけど。とりあえず早足で。
ヴィレッジブックス×木村榮一さんというと、フリオ・リャマサーレスの印象がとても強いのだけど、これはリャマサーレスの新刊Las Rosas De Piedraではありません。僕が買ったあの本はかなり分厚いハードカバーで、せっかく届いたのに序盤で早くも挫折したのでした。パハーレスの本よりもそっちの方を訳してほしかったな。リベンジするのと訳が出るの、どっちが先だろうか。
ということで、サンティアーゴ・パハーレス。知りませんでした。30過ぎのとても若い作家さん。原著が出たのが2004年だから、これは25歳のときの作品ですか。これはびっくり。25歳で、こんな小説が書けるんですね。かなり色々作り込みながら仕上げてある作品、といった感じです。章によって緩急を変えていて、読んでいて飽きさせず、とても心地よい。そして一気読み系。小説内小説『螺旋』を中心にしてその周囲に巻き起こる人間同士の交流を描いた作品。すっ飛ばしたままの伏線もあるけれど、概ねきれいにまとめてくれているので読後感はすっきりです。まさしく大団円ってやつですね。書物とか物語への信頼、というものがひしひしを感じられて、こちらまで本の可能性、というのを信じたくなります。そういった意味でもこのパハーレスという作家は、「ストーリーテラー」なんでしょうね。ジョン・アーヴィングのことをなんとなく想起しました。
フリオ・リャマサーレスがあまりにも衝撃的だったせいで、現代スペイン文学というとどうしても彼のイメージなんだけれど、こういった若い作家さんもいるんですね。これからが楽しみ。
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