2009年11月19日木曜日

角田光代 『対岸の彼女』

30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。立場が違うということは、時に女同士を決裂させる。女の人を区別するのは、女の人だ。性格も生活環境も全く違う2人の女性の友情は成立するのか…?

読みさしの本を終えてしまい、なんとなしに買った本。わからないような、すごくよくわかるような。男性作家が女性をある種のステレオタイプとして描いてきたこと、これはよく聞く話で、だけど女性作家が男性を、特に「夫」を描こうとするときもまた似たようなメカニズムが働くのだろうか。主要な役割を果たす人物をのぞいて、人物造形があまりにも平面的な印象を受けた。「いかにも」な夫、姑、母親、周囲の母親たち…。分かる、というよりも分かった気になる。けどよく考えてみると分かるわけないのだけれど。たぶん、この小説は、それを手に取る人によって全然感じ方が違うのだろう。例えば僕の母はこれをどう読んだんだろう?そんなことも考えた。何れにせよ僕にとっては「分かったつもり」になってしまう、よくない本だった。きっと僕は何も分かっちゃいないんだろう、との自戒も込めつつ。話自体は嫌いじゃないけれど、すっきりせず。

そうそう、あらすじのところに「勝ち犬」やら「負け犬」やら変な言葉が踊っているけど、あれは刊行当時の流行りかね。そんな話じゃないと思うけど、まぁいいや。

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